こんにちは、ていくです。
今回は、嘘つき少女と硝煙の死霊術師(著:岸馬鹿緑、イラスト:ノキト)を紹介します!
本作品は、第15回小学館ライトノベル賞 審査員特別賞受賞作で、
死者を蘇らせるという禁忌と愛がテーマとなっている作品です。
youtubeに紹介PVも公開されているのでぜひそちらもご覧ください!
あらすじ
「―ミーシェ・アリアンクラフトを蘇らせたいか?」
コート姿の男は眉一つ動かさずにそう告げた。
「地獄にその身を堕としてでも、彼女との再会を望むならば。お前を冥府に導こう」
それはまさしく悪魔の誘い。
だけど迷わなかった。
「決まっている」
「例え嘘でも、万に一つでも。ミーシェにもう一度会えるのなら。残りの人生の意味なんて、それだけで十分だ」
「いいだろう」
男は呟く。表情など少しも変えないままで。
「ヴェルサリウスのもっと深き闇にして根源。魔導の深奥に座す咎人。我ら、国命死霊術師の罪に―お前もまた、沈むがいい」
そして僕は男の手を取った。
悪魔よりもおぞましく業の深い、禁忌の咎人へと至る道を。
死霊術ーーそれは死者を蘇らせ使役する魔導の秘奥。
「この世で最も実現不可能な魔導」とも言われています、 そう、不可能です、ヴェルサリウス以外でなら。
それを繰る術師たちは死者を冒瀆し、禁忌に踏み入り、大議会の命じるままに善悪の区別なく仕事をこなす者達。
時には、指名手配犯の討伐や鉱山採鉱、白龍の盗賊団の粛清などをします。
毒を以って毒を制すため、国にあだなす存在を密かに粛清するという役割をもって、ヴェルサリウスという国家の陰なる基盤となりました。
ウィリアムは相棒の死骸(デッド)・ライニーとともに龍を使役する盗賊の粛清を行う途中で、国を、そして、死霊術師たちそのものを揺るがす第二の革命の存在を知ります。
そして、革命派の襲撃によってライニーを奪われ、失いかける絶望の底でウィリアムは幼馴染・ ミーシェとの再会を願った最初の夜の記憶を思い出していきます。
これはたった一人の少女のために、死を否定した少年の物語。
キャラ紹介
ウィリアム・ジッドルッド
人の死霊を使役することに特化した死霊術師。
ライニーの契約者(ディーラー)。
死霊術師同士が慣習で呼び合う仇名は「狩人」。
死霊術師として嫌われることを心の底から好むようなひねくれた性格ですが、死霊術師になった事情には悲しい過去があるようです。
ライニー
ウィリアムの死骸(デッド)。
自身の不死性を前提に強化系魔導の複合術式が無数に重ね上げられていて、圧倒的な力を手にしています。
言動と表情が豊かで、ウィリアムのことを心の底から信頼し甘えています。
ですが、彼女にはウィリアムに言えない嘘がある‥‥。
リア・ジス
獣の血を引く獣人氏族の幼き末裔で、ウィリアムと同じ死霊術師。
雪狼のような白髪と獣の耳がシルエットとなっています。
最年少で死霊術を会得した天才で、獣との意思疎通が可能なため、幻獣や動物の死霊を使役することに特化しています。
仇名は「雪狼」。
馬鹿な生き方をしているウィリアムに報われてほしいと願い、よく協力しています。
アイリーン・フォン・ローズヴェルク
騎士の名門の出で腕もたつヴェルサリウス評議国の国命騎士。
死霊術師を毛嫌いしていたが、魔刃騒動でウィリアム達の力を目の当たりにしてから、彼らに敬意を払いその後も協力するようになります。
評議国や国民を第一に考え、第二の革命への参加を断り、ウィリアムに協力します。
感想
愛する幼馴染にもう一度会うために禁忌を冒してでも蘇らせるという覚悟が刺さりました。
5年という長い月日がたっても、ミーシェへの想いを忘れることなく死霊術師となったが、自身の願いがかなえられなかったウィリアム。
それでも、ライニーを一人の相棒として大切にして今あるものを守ろうとする意志に泣きました。
それだけでなく、バトルシーンの描写が細かく丁寧で、文字で読んでいるのにその場の緊張感が伝わってくるようでした。
軽口をたたき合うコメディ的な場面とシリアスな場面のギャップがよかったです
最後まで読むとタイトルの意味が分かりより一層重みをもつようなタイトルで感慨深くなりました。
死霊術師のような咎人や作中では敵役として描かれているキャラにもそれぞれの過去があり、何が正義で正しいのかを考えさせられるような作品でもあります。
2巻も製作中のようなので、ぜひ2巻に期待しながら1巻を読んでみてください!
最後までお読みいただきありがとうございました。
また次の作品でお会いしましょう!
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